皆さんはお散歩というと、ハーネス(胴輪)もしくはリードのどちらを思い浮かべるでしょうか。
最近ではデザイン性も多岐にわたり、また犬に対しても負担が軽減されるといった面でも、ハーネスが広く普及してきました。
せっかく使うなら可愛いのがいい!
犬も楽そうだし、最近ではみんなハーネスよね!
びよーーーんって伸びるタイプを使ってる方もいますね
はたしてお散歩にはハーネス、もしくはリード。どちらがいいのでしょうか。
一緒に考えていきましょう。
ペットショップでは売り場のほとんどがハーネス
いつの時代からこうなったかわかりませんが、ペットショップで売られている95%はハーネスになってしまいました。プラス首輪ですね。
最近では《リード》といってもピンとこない方も多く、紐タイプのものでやっと伝わる場面も出てきました。
事実、街で犬を散歩している方の殆どが、ハーネスを使ってのお散歩でしょう。
しかし当ショップでは、ハーネスはおいておらず、リードしか扱っておりません。
子犬をお引き渡しする際にもリードをお付けするのですが、実際にはほとんど使われておらず、しばらくしてハーネスを付けてのトリミングでのご来店が現状です。
やはり先述のように、デザイン性であったり、なんとなく安全そう、という認識が、お散歩イコールハーネスとなってしまっているのでしょう。
実際のところ、ハーネスは安全なのか
当ショップでのお客様の現状はどうなのか。
顧客数800件。年間トリミング3000頭以上を扱うと色々なことが起きます。
安心感による締め忘れ
ハーネスは安全と思っていませんか。
安全なのは、ちゃんと使用してる場合のみ安全なのです。
ストッパーの締め忘れ、もしくはサイズの合ってないゆるい状態によるスルリ抜け。
これ案外多いんです。
後ずさりや不意な動きで、ゆるいハーネスは簡単に抜けられます。
そして次に、そもそも所定の場所に脚が通っていないケース。
なんだか首を出すところに一緒に脚まで通ってしまい、いわゆる遠山の金さん状態ですね。
もはや何のためにハーネス付けてるのか訳がわからねぇ…
そういった子がいるのも事実です。
ハーネスはストッパーをちゃんと締めるから抜けなくなり、身体に合ってこそ安全なのです。
ハーネスは安心、という意識が先行してしまい、ついウッカリが逃走や事故の誘発につながってしまっては元も子もありません。
主従関係が構築できない
次にあげる問題点が、飼い主が主導権を握れなくなるという点です。
よく飼い主が犬に引っ張られている様子を目にしませんか。
犬にグイグイ引っ張られ、どっちが散歩されているのかわからない状態ですね。
これは犬との主従関係ができていない証拠です。
そして、その多くがハーネスでの散歩です。
リーダーウォークを学ぼう
是非お散歩では、リーダーウォークを実践してみてください。
リーダーウォークとは、飼い主との主従関係を構築するためにも超重要なしつけ項目です。
通常、調教師や訓練士はハーネスを使っての訓練はまずしません。リードを使って訓練するはずです。
またドッグショーにおいてもリードを使います。
これらはすべてリーダーウォークがあってこその歩行スタイルです。
具体的に一から順に説明いたします。
使用するリード:キンペックス マーチンゲルリード
当ショップでは長年コレだけです
人間の左側を歩く訓練
散歩の際は、基本的にはなるべく、犬は人間の左側を歩かせましょう。
基本的には、と書いたのは、散歩においては、あえて左側と決めなくてもいいということです。
壁側、もしくは道路とは反対側という認識で構いませんが、基本的には左側です。
ドッグショーでも必ず、犬は人間の左側です。
あまり犬が右に左に動き回るようでは、後ろから来た自転車に巻き込まれるといった事故も起こりえます。
普段から右へ左へ動き回らせず、片側のみで歩ける訓練をしておくとよいでしょう。
前へ出ようとしたら方向転換
まずリードはピンっと張られた状態ではなく、緩く持ちましょう。
そして犬が人間より先に行こうとしたら、すかざずリードを後ろへチョンっと引っ張り、逆方向へクルリと向きを変え歩きましょう。
その時犬は「!?」と最初は訳も分からずキョトンとした顔で飼い主に付いていきます。
そしてまた前へ出ようとしたら、同じようにクルリと逆へ向きを変え歩き続けます。
その際大事なのは、声もかけず、顔も合わせず、気にもとめず方向転換することです。
前へ出ようとしたらクルリと逆へ。
また前へ出ようとしたらクルリ。
犬が「え!?こっちに行きたいんだけど!」と引っ張ったらクルリ。
これの繰り返しです。
すると段々と、飼い主の顔を伺いながら横を歩くようになります。
つまり、人間の行く方向に犬を連れて行くのです。
犬が「あっち行きたい!」、「こっちの匂い嗅ぎたい」と、行きたい方向へ飼い主が連れて行かれているようではだめです。
これでは主従関係が崩れていても仕方がありません。
街中を見るとほとんどがこの状態ではないでしょうか。
犬が散歩の主導権を握り、突然走り出した際、うしろから自転車が来ていたら…。
特に高齢の方は、引っ張られて転倒の恐れもあります。
こうした万が一の事故にそなえて、リーダーウォークを是非とも実践してみてください。
まとめ
リーダーウォークはもちろん理想ですが、ドッグショーとお散歩は違います。
グイグイ引っ張られていなければ、ある程度はオッケーでしょう。
あくまで主従関係をしっかり認識させる訓練です。
そしてそのためには、ハーネスではリーダーウォークは対応できないんです。
ですがネットでは、事故防止に抜けにくいハーネスにしましょうという記事。
もしくは、引っ張られて金具が外れても大丈夫なように、首輪とハーネスのダブルリード☆さくらんぼがけー^^♪
なんて商品が売られてます。
そもそも引っ張られないようにしましょう。
飼い主が主導権を握りましょう。
しかしこういったことを書くと、気管虚脱の話をしてくる方がいらっしゃいます。
(気管虚脱とは、気管が変形し、呼吸がしずらくなったり、咳が出たりする病気)
犬に好き勝手自由に行動させなければいいだけの話です。
緩んだリードで普通に散歩する分にはまったく関係ありません。
大通りを人間の子供が好き勝手歩きまわってますか。
リードを付けてグイグイ両親を引っ張ってますか。
おもちゃ屋さん等では見られますが、街中では両親がしっかり手をつないで真横を歩いてますよね。
普段からリーダーウォークを意識しておくと、愛犬とのより良い関係が構築できるはずです。
こういったしつけに関しては、海外の方が上ですね。
YouTubeでも検索するとたくさん出てきますので、是非試してみてください。
リード1本でできるしつけの重要項目。
それがリーダーウォークなんですね。
なによりも、5秒で付けられるのはめちゃくちゃ楽ですよ。
犬との暮らしが少しでも良くなるよう、心から願っております。
リーダーウォークのただ1つの欠点
しかしリーダーウォークの訓練には1つだけ欠点があります。
それは、クルリクルリと方向転換しながら散歩すると周囲の人から
おかしな人扱いされ兼ねないという事です。
くれぐれも最初のうちは人気のいないところでやりましょうね。