だんだんと暖かくなるこの季節。
いよいよノミダニの本格的な季節が始まります。
しっかり対策をして、飼い主が愛犬を守ってあげることが大切です。
一般的に冬の寒い時期はノミダニの活動が鈍くなります。
一昔前は4月〜11月頃が活動期でしたが、昨今の暖冬などの影響で真冬の1月にも見られることが多くなってきました。
当然、家の中は暖かいので、真冬でも家内に入れば活動します。
当トリミングサロンでも先日、お客様のワンちゃんに今年初めてのノミを確認いたしました。
現実にはノミダニに対する意識は低く、手を焼くことも多いのです。
もはやこれは《トリマー対ノミダニの永遠の戦い》と思うことも。
飼い主の皆様にはノミダニに対する意識を高く持っていただきたく思います。
ノミダニによる症状
ノミ
ノミは犬や猫の体表に寄生し吸血します。
屋内外関わらず、至る場所に生息しているのです。
屋内では絨毯やカーペット、ベッドなどに多くみられ、暖かい場所が繁殖に適しています。
屋外では草むらなどに生息し、散歩時に飛び移って寄生。
排泄で犬が草むらに入っていくのには要注意です。
猫も一緒に飼っているご家庭も要注意です!
犬につくノミの7割が猫ノミと言われています。
症状
ノミがいれば身体中を小さな虫が全身を這うわけですから、当然本人は痒くてしょうがないわけです。
突然思い出したように素早く身体を掻く様子が見られたら要注意。
また1番の懸念はノミアレルギーによる皮膚疾患で、強い痒みを伴います。
ノミによるアレルギーは皮膚病の原因の1つで、多くの皮膚病の原因の6割はノミダニによるものだそうです。(参照元:動物医者の独り言 磯部芳郎著)
そして多数寄生による濃厚感染では貧血を起こすことも。
またノミは条虫の中間宿主となるので、ノミがつくと条虫も腹の中にいると言って間違い無いです。
犬条虫症と言って節が連なった形状の寄生虫で腸管に寄生します。
感染は瓜実条虫の幼虫を保有したノミを経口摂取することにより起こります。
糞便中に米粒のような動く片節が認められることがあります。
感染犬は下痢を起こしますが、無症状なことも多い。
ノミの繁殖力
ノミの成虫数は卵・幼虫・蛹を含めた総数の5%に過ぎないと言われています。
メスノミが10匹いれば、卵を産卵孵化を繰り返し、30日後には成虫が2,000匹に増加。
その成虫がさらに産卵し90,000の卵、十数万匹の幼虫を産み出すほどの繁殖力。
当然家の中にもそれだけの数が大量発生しているわけです。
夜ペットと一緒に寝ている飼い主さんは、それだけの数のノミとも一緒に寝ていることになります。
どうです?
怖くなってきました?
ダニ
ダニといっても多くの種類のダニが存在します。
その中でも犬に寄生するマダニが多く知られています。
しばらく前にもニュースで話題になリましたね。
致死率30%…草むらに潜む脅威 「マダニ感染症」広がる ペットも死亡の危険あり
マダニ
屋外の草むらに多く潜み、そばを通った犬に飛び移る機会を狙っています。
ノミ同様、犬が草むらに入っていくのは要注意です。
マダニも表皮に寄生し、吸血することで栄養を摂取します。
経験上、主に被毛の薄い顔まわり(まぶた、口、耳付近)、脚の指間に見られます。
最初は「かさぶたかな?」とか「イボかな?」とよく見るとダニだった、っていうパターンですね。
症状
アレルギー性皮膚炎を引き起こし強い痒みを伴う。
多量の寄生によると貧血も起こります。
そして様々な病原体を媒介し、人間への寄生による死亡例も報告されています。
吸血すると体も丸々と太り、めっちゃくちゃ気持ち悪いです。
それが集団寄生してる様子は、それはもう即倒モノですよ。
画像載せるのも躊躇うレベル。興味ある方は画像検索してください。
人間への被害は2020年12月までに573症例が報告され、うち75人が死亡しています。
(参照元:国立感染症研究所HP)
どうです?
ますます恐ろしくなってきませんか?
マダニは、睡液に含まれる酵素で皮膚を溶かし、鋏角と呼ばれる針状の構造物で皮膚を切開し、口下片と呼ばれる突起物を差し込んで吸血します。
口下片の鉤状の歯と鋏角により、マダニが皮膚状に固定され、吸血時に唾液とともに分泌されるセメント様物質が、マダニを皮膚により強く固定します。
参照元:Life with Pet 「マダニの吸血方法」
発見しても無理に取らない!
上記のように皮膚に深く口下片を差し込み、強く固定されていますので、慌ててピンセットなどで引っ張ると胴体がちぎれ、口部分だけ残り化膿の恐れがあります。
とっさに取りたくなる気持ちもわかりますが、無理やり取らないようにしましょう!!
幸い(?)ノミと違い身体中を這い回らないので、見つけたら慌てずに動物病院で診てもらいましょう。
ノミダニへの意識の低さ
もし皮膚状に黒い砂状のものが見られたらそれを取り、ティッシュの上で水をつけて溶かしてみてください。
それが赤くなったら吸血によるノミの糞です。
糞があればノミの成虫がいるということになります。
▼黒い砂状の点々は全てノミの糞(背中部位)
▼(ノミ写真クリック注意)1頭にいた複数のノミの成虫
以前ブラックタンのダックスをシャンプーした際、シャンプー泡が一気に赤く染色した経験があります。
身体が黒かったので気が付かなかったのですが、今思い出しても衝撃的な光景でした。
聞くと、立派な日本家屋のご家庭で、犬は玄関の土間で飼育していたとのことでした。
泡が一瞬で真っ赤に染まるのですから、相当の量の糞、相当の数の成虫がいたはずです。
しかしこれもはっきり言って迷惑な話です。
中にはノミがいるのを知っておきながら美容に出す飼い主もいます。
これはもう知らない以上にタチが悪いです。
「美容に出してから薬を付けようと思っていたのよ」とのこと。
冗談じゃないです。
追加料金とペナルティー加算で次はないと思って欲しいものです。
対策
ノミダニの対策は駆虫薬。もうこれ一択です。
フロントラインやレボリューションといった良い駆虫薬があるのでそれを使いましょう。
最近では表皮滴下タイプの他にも、チュアブルと言って経口のおやつタイプなどがあります。
おすすめはやはりフロントラインの昔ながらの滴下タイプでしょうか。
おやつタイプの「本当に食べたかな」より確実です。
フロントラインの使用方法はとっても簡単。
首の被毛をかき分け、表皮にフロントライン全量を滴下するだけ。
1〜2ヶ月に1回の使用で効果が持続します。
もちろん雨に濡れても、トリミングでシャンプーしても問題ありません。
以前は動物病院に連れて行き、体重を測ってもらい、獣医師による処置が主流でした。
しかし今では楽天市場などの販売会社が、医薬品販売解禁をめぐり厚労省と争い勝訴したおかげでネットでも買える時代になりました。
三木谷社長グッジョブ!
と言いたいですがドラッグストア業界からは猛反発を受けているようですね。
当然と言えば当然ですが、いずれにせよ消費者側からすればネットで気軽に買えることは有り難いことです。
適時適用、用法容量を守り正しく利用しましょう。
そして!
これが1番言いたいことなんですが、ホームセンターなどで売っているドギ○マンだとかア○ス製薬が出している首輪タイプは何の意味もないのでやめましょう。
忌避製品といって、せいぜい首付近のノミが背中に移動する程度の効果です。
お金の無駄です。
買う行為、装着する行為、それらに対する労力すら無駄です。
「パパがいいの買ってきたからなー!これで大丈夫だぞー☆」
「よーし今日から安心だー☆」
などと無駄に安堵する気持ちも無駄です。
美容でも稀に付けてくる子がいますが、それを外す数秒ですら無駄な労力に思えてきます。
…。
そもそもアレらはどういった意図、大義のつもりで作っているのか小一時間問い詰めたいレベル。
ちゃんと検査してんのかと。
どういった結果を共有して製造し続けてんのかと。
むしろそのノミダニ忌避首輪とやらを外した下からノミが出てきたわアホ!
ふ、ふぅ… と、とにかく…
ああいった訳のわかんない医薬部外品を買うくらいなら…ちゃんとした駆虫の医薬品を買ってください…
ちゃんとした対策をして、愛犬を飼い主さんが守ってあげましょうね。
まとめ
本当に、昔からちゃんとしている飼い主さんはしっかりと対策をしているのに、やらない飼い主さんはトコトンやらないのがノミダニ対策です。
あれだけ口を尖らせて口頭注意、料金割り増しをしても、次のシーズンにはしっかりノミも同伴でご来店される方がいます。
よっ!また来たでぇ!
じゃないんですよ。
そして厄介なことにトリミングを始めてみないと、[いるorいない]が分からないんです。
懲りないというか何というか。全く理解できません。
おそらくこれだけ強い口調で書いているブログもなかなかないと思いますが、多くのトリマーや獣医師は同じ気持ちなのではないかと思っています。